世界中の多くの民族風習に共通しているのは、服と共に頭に布を巻いており、頭や首に布を巻くのが正装であるという点である。キリスト教の尼僧とイスラムのベール、おこそ頭巾に共通するものを感じる人もあるだろう。手ぬぐいで農民や庶民が頭を覆って仕事をする風景も、東西で見られる。炎天下、土ぼこりの中で、毎日風呂に入れず洗髪できないとあれば、頭部が汚れないように覆っていたと思われる。
極初期の人類の衣装、貫頭衣。
ビニール袋に穴を開けてかぶったような単純な構造ときくが、巾着のひものように首や袖にざっくり縫って、首や袂を絞ってきていたのだろう。
その後、織り機の発展と共に、中国や朝鮮半島、インドやペルシャのような、ひだスカート、巻きスカートの服装が入ってきたのであろう。また、乗馬と共に、乾燥地帯の民族衣装、袴状のズボンが入ってきたのであろう。
偶然かもしれないが「猿股」に似た語感のサルマティア人の服や呉服、モンゴル人の服、オランダ人のニッカボッカ服なども、折々に取り入れられてきたのではないか。
十二単の頃も、庶民はまだ弥生時代に近い服装であったかもしれない。そして、貴族も盛夏の御簾の中では、裸に薄い布を巻きつけてごろごろしていたことだろう。縁側で井戸で冷やしたメロンの一種、マクワウリをみなでかじって、扇子で扇ぎながら涼んでいたかもしれない。
どのくにも、どの民族の文化も、多くの国の影響を受けて成長繁栄してきている。日本の文化も、時代ごとの多くの文化の影響を受けてきている。今見ている日本の風景は、ほとんどが持ち込まれたものである。桃も、桜も、イヌもネコも、人間と共に日本列島にやってきた。和文化のルーツは多様であり、答えは一つではない。宗教は宗教のルーツ、政治は政治のルーツがある。民族的な遺伝的ルーツ、食文化のルーツも多様である。
日本列島には、多くの外国人が難破しては漂流し、漂着してきたはずである。
どのような材料とレシピで順々に形成されたのか、製造方法を解明するという方向では、和文化を解明できないか。
漬物のように、つぎつぎと新しい野菜が漬け込まれて発酵してきた文化ではなかろうか。
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